ハイパー・マッド工法とは、特殊な繊維融着技術により製造されたジオテキスタイルと砕石のみを利用した地盤補強工法となります。
原地盤と地業砕石間に補強材を挟み込むことにより、空隙の大きな砕石は補強材を介してマスとして機能し、原地盤による小さな土粒子を拘束します。
ここで、補強材となるジオテキスタイルは水は通すが土粒子は通さない分離機能を有しているため、砕石は良質を維持し摩擦力を損なうことがありません。
地業砕石と原地盤との一体化により、基礎直下地盤の変形を拘束させ不同沈下を抑制する作用を築造します。
また、本工法で用いるジオテキスタイルはドレーン材としての特徴も有しているため、雨水の侵入による洗堀や土粒子の逃げ上り現象への対策工にもなります。
床下の空洞化は地盤補償の対象外となる大きな問題です。
ローコスト目つ短工期となる本工法は、当社による地盤解析と地盤補償会社による事前審査により適用され、今日まで不同沈下による事故は一件もありません。
ジオテキスタイルは掘削根切面に対して直接敷設します。全て人力施工となり、電気や水道、重機等は一切使用しません。狭小池においても問題なく施工が可能です。
建物短辺方向に対して展張していき、ジオテキスタイル同士の重ね代は300mm以上となります。また、基礎端部からの敷設余幅は砕石地業厚を考慮し、全周一律で60~100mm程度です。
雨天でも施工は可能ですが、火山灰質粘性土のような細粒分が小さな土質では、雨水の影響により地表面が一時軟弱化することがあるため、その際には地盤が良好と判断できる状況下での施工となります。
本工法で使用するジオテキスタイルは、繊維がランダムに融着されており、引張力に方向性を有しません。
このため、従来の土木シートで問題となる引き裂き現象が生じないことから、砕石締固め時に打撃ランマやバイブロコンパクターを使用しても、砕石凸部によるジオテキスタイルの損傷は一切ありません。
ハイパー・マッド工法は特殊工法ではなく、世界で最も古くから存在する地盤補強工法を、ジオテキスタイルという建築資材を用いて現代版にアレンジした技術となります。 中国の万里の長城では一定厚の盛土間に粗朶と呼ばれる木の枝を敷き詰め高い人工土を構築していることや、国内においても築地壁にみられる通り、 土壁内に瓦や藁を組み入れて側壁もなく安定化させていました。 今日では線路下や空港滑走路においても広く活用されています。 柱状改良工法や杭基礎は、重量建築物においては無くてはならない技術です。 しかし、木造戸建住宅のような比較的軽量な小規模建築物では必ずしも要するとは限りません。 また、杭状地盤補強を施したことで、土地の資産価値減少や高額な撤去費用がかかること、地中深くに手を加えたことで沈下リスクが増加してしまう場合もあります。 本工法は、ベタ基礎という面に対して面で支えるシンプルな補強構造体でありながら、土地の資産価値を維持し、有害物質の溶出もない安心・安全は地盤補強工法となります。
本工法の適用範囲は以下のすべてを満たす建築物となります。
◆地上3階建て以下、建物高さ13m以下、軒高9m以下の木造建築物
◆建築面積200m2未満且つ平屋造建築物(木造・鉄骨造・RC造)
◆ベタ基礎
◆スクリューウエイト貫入試験による地盤調査がなされた建築物
◆法令、条例、慣習等により本工法の適用が不可とならない建築物
◆液状化の恐れのない地盤
住宅・非住宅を問わずに適用が可能です。ただし、地盤調査結果に基づく検討結果によっては本工法の適用が不可となる場合もあります。
尚、建築物に限らず適用建築物と同等と見做せる構造物についても地盤補償付きで適用可能な場合もあります(地下式雨水貯留浸透施設等)。
ハイパー・マッド工法では地盤支持力だけではなく、圧密沈下量やそれに伴う建物の傾斜や変形までを解析します。 各軟弱地盤で実施した多くの土質試験結果をデータ化し解析根拠を示すとともに、地盤補償会社による最終確認も加わることで、安心したかたちとしてお客様に検討書をご提出させて頂きます。 ハイパー・マッド工法はローコスト目つシンプルな地盤補強工法でありながらも厳格でもあることを特徴としています。